産婦人科医ドクターパートナーシップのブログ

産婦人科医が教える中毒性のあるパートナーシップの創り方をお伝えします。

ご自身の病気で妊娠を足踏みしている女性たちへ・・・

こんばんは。ドクターパートナーシップです。

 

今日は当直明けです。今回の当直も夜間に帝王切開があり、分娩もあり、様々なことがあった当直でした。

 

4人の赤ちゃんを新しく、受け入れることが出来ました。

 

ご出産されたお母さん方、誠におめでとうございます。

 

 

さて、

 

今日の外来に、去年僕が「流産」と診断した20代の女性が健診で来院されました。

 

僕も彼女を覚えていましたし、彼女も僕のことを覚えていてくれました。

 

僕はなるべく患者さんのことを覚えようと思って、接しているのですが、

 

この人は礼儀正しくて柔らかくとても良い人でしたので、妙に印象に残っていました。

 

この人が流産した時は、本当に残念だなと思ったものでした。

 

 

そんな人なので、早く妊娠してほしいなと思っていましたが、なかなか来院されません。

 

他の病院に行ったのかな?とも思いましたが、本日ふらっと癌健診にやって参りました。

 

前回僕が診察した時は、流産した時であり、この一年で妊娠にまつわる話はなかったのか非常に気になるところでした。

 

世間話をしているところから

 

 

「関節リウマチ、シェーグレン症候群にかかってしまい、今免疫抑制剤ステロイドを内服しています。

なので妊活は控えています」

 

 

えっ・・・

 

 

少々ショックを受けました。こんなに若いのに・・・

 

関節リウマチ、シェーグレン症候群は膠原病。簡単に言うと自分を攻撃する自己抗体がある自己免疫疾患です。

 

関節リウマチは全身の関節、中でも手、膝などよく動かす関節の痛みや腫れが左右対称性に見られる病気で、中年女性に多いです。

 

シェーグレン症候群は唾液が出にくくて食べ物がのどを通りにくいだとか、目が乾いて異物感がするなどのいわゆる乾燥症状が特徴の病気です。また虫歯が治りにくいという症状で始まる患者さんも多く見られます。40歳台の女性に多いです。

 

 

いずれも自己抗体が身体を攻撃するような病気であり、免疫力が弱くなる妊娠においては実は軽快するような病気になります。

 

 

彼女が内服している免疫抑制剤ステロイドは量にもよりますが、扱いによっては妊娠可能です。

 

 

赤ちゃんに薬が影響するかもしれないというリスクがある場合、実は、妊娠反応が陽性になった時に内服を中止にしても十分なのです。

 

その根拠としては「全か無の法則」というものがあります。

 

受精から14日間(本によって18日間との説明もある)は「全か無か」の時期といわれています。

 

この時期に受精卵が薬物などから有害な影響を受けた場合には受精卵は着床しないかまたは流産の結果となり、逆に流産にならなかった場合には奇形の形で影響が残ることはないと考えられています。

 

 

だから、月経予定日になっても月経が来ない場合には妊娠反応をして、陽性になれば薬物を中止するという方法でいいということになります。

 

 

例えば、腎移植などをした患者さんが妊娠した場合は、免疫抑制剤の内服を続けますが、赤ちゃんが小さく育つと言うリスクがあります。

 

しかし、ステロイド自身は胎盤で無効化されるプレドニゾロンが使用されることが多いと思うので、妊娠中に症状が強いようならステロイドでコントロールしていけばいいのではないかと思います。

 

 

だから、きっと赤ちゃんが欲しいと思っている彼女にこのことをもっとしっかり伝えるべきだったな・・・と後悔しています。

 

 

幸い、今回の癌健診の結果を伝える機会がありますので、その際にでもお話させて頂こうと思います。

 

 

今、僕は「魔法の妊活」を提唱しています。

 

従来の妊活だけでは、3組に1組が離婚する日本のこの離婚率に歯止めをすることは難しいと思います。

 

妊娠を目指しながら、夫婦としての在り方を共に深めていく、夫婦としての価値を高めていくということが必要だと思ったために、「魔法の妊活」を提唱させて頂いております。

 

 

この患者さんのおかげで、ただ不妊治療の方法をお伝えするだけでなく、自分の持っている病気のために妊娠することに足踏みしている人達の背中を押せるようにならなければと思えました。

 

 

着実に一歩一歩、ワクワクする未来を実現できるようお手伝いしていく所存です。